・・・あの日、私は新しいマジックのネタがなかなか浮かばず、あれやこれやと
思いを巡らせているうちに、うとうとと眠りについてしまった。
どれぐらいの時間がたっただろうか・・・
目が覚めると目の前に大勢の人達が座っていて、熱い眼差しでこっちを見ている。
誰?ここは何処?
慌ててあたりを見回すが、紛れもなくここは自分の部屋だ。
皆、私の一挙手一投足に注目している・・・静寂・・
期待感の高まるなか、私は得意のマジックを披露した!
が、予想に反して全くウケない・・え?
空笑いでごまかしながら、今度は思い切って新ネタを披露した
・・・失敗に終わった。
仕方なく半ばやけになって軽快にタップを踏んでみた。
これが思いのほかウケて、拍手が鳴り止まない。
気をよくした私は今度は空を飛んでみた。
観客はスタンディングオベーションで私を称えた。
と、その時、私のスマホに一通のメールが届いた。
ラスベガスからの出演依頼である。
思わず小躍りした瞬間、目が覚めた。
・・・失礼・・これはあくまでも
この作品を創るきっかけとなった私の「夢」の話である。
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